近況:性について

最近はよくコテンラジオというポッドキャストを聞いている。
歴史について語るラジオなのだが、これがなかなかすごい。
語るのは専門家ではない一般人数人であり、この数人でテーマについて参考文献を数十冊読んだ上でラジオをするというものである。実際に読んだ参考文献をページでまとめてくれているのがありがたい。

参考文献リスト:https://www.valuebooks.jp/shelf-items/list/aWZpYU96cURDSkh6TE1IeDl4WldiUT09

語り調も「この本では〜と言っている」「この人は〜と言っている」とか、あくまで引用であるという
ところも配慮がされている。

性の歴史について語っているのを聞いているのだが、かなり長くてまだ最後まで聞けていない。
非常におすすめなので、気になる方は聞いてみてほしい。Spotify,Apple podcast,youtubeで視聴可能だ。どこのエピソードから聞いても面白いと思う。気になるところから聞くのもありだ。

#210 [PG-18] 性の歴史 ー人類が紡いだ愛とセックスの物語ー【COTEN RADIO】 - 歴史を面白く学ぶコテンラジオ (COTEN RADIO) | Podcast on Spotify

 

youtu.be


少し前に、巨乳というものをエロく感じるのは人間の本能的なものなのか、それとも「巨乳=エロい」という社会通念を学習してエロいと感じるのか、どっちなのかと気になって周囲に聞いて変な顔をされたことがある。
まあおそらくはどちらもあるのだと思う。人による、が正解だと思う。

しかし不思議なのである。私自身普段から何かに対してエロいという感覚を持つことがないため特にそう感じるのかもしれない。
コテンラジオでも話されていたのだが、今現在の社会一般的な性的な感覚というのは、明治以降に明治維新の中で諸外国と同等と渡り合うためにキリスト教的価値観を日本に浸透させた結果生まれたものである。野蛮と思われないようにするため、とも言えるだろう。
そもそも日本の着物という文化において、胸はよく見えるものであるし(ジブリ作品を見るとよくわかる)、混浴の文化もあった中で、本当に胸というものが性的欲求をくすぐるエロいものと捉えられていたのだろうか、という疑問がある。

 


私の性的感覚に対する疑問の根底にあるのは、昔twitterで見たとある人物の話である。
その方は、性的なものに対して母親から強い抑圧をされて育てられ、その結果一般的に性的とよばれるものを見ると吐き気を催すようになったらしい。そして虫の交尾にしか性的興奮を感じなくなってしまい、普通とは違う自分の感覚に今も苦しんでいるとのことである。
一般的な性的感覚を持てないというのは大きな苦しみであるというふうに思う。誰もが例外なく感じるとされている性欲というものについて、誰ともわかりあえないのだ。
生理的な反応に対しては人は無力である。自分ではどうすることもできない。

 

似たような話は、ジャンプ+で掲載されていたROUTE ENDという漫画でも描かれている。
特殊清掃の現場でしか性的興奮を得られない心に傷を負った男とその彼女が描かれており、
見ていて非常に辛いものがある。1ページ目から自殺描写があるため苦手な方は読まないでほしい。
人の傷つきを強く感じられるミステリー作品である。

[1話]ROUTE END - 中川海二 | 少年ジャンプ+


エロさの共通認識というのは結構大事で、それによって生まれるコミュニケーションや関係性もあるだろう。
その共通認識を得られない、感じられないことはかなりの疎外感を生むと考えられる。特に男性では。


コテンラジオを聞いて性の歴史を知る中で、やはり性的な感覚というのは本能で決まっているものではなく経験(特にキリスト教的価値観)によって作られたものであるというふうに感じる。
歴史の勉強をしていると、やっぱキリスト教がだめなんじゃねえかという気持ちになるのでそこはバランスをとらなきゃいけない。とにかく侵略、価値観の押しつけの歴史なので……。

でも歴史を知ることによって、性的な価値観というのはその連続性の中で生まれているものにすぎない、という事実は少なくない誰かにとって、希望になるものなのではないだろうか。

理由なく決まっているものではない、はずだ。そう思いたい。

 

最近はそんなことばかり考えている。